北海道では、秋の農作業が終わってから初雪までの期間が短く、点検を後回しにすると、必要なときに農機具が動かないことがあります。特に確認しておきたいのが、トラクター、除雪作業に使うタイヤショベル(ホイールローダー)、除雪機です。
この記事では、雪が降る前に確認したい項目を、農機具に共通するものと機種別のものに分けて紹介します。点検で不具合が見つかった場合や、長期間使っていない予備機が見つかった場合の対応も確認しておきましょう。
なお、点検方法や指定されている油脂類、燃料の保管方法は機種によって異なります。実際に作業するときは、必ず使用している機種の取扱説明書に従ってください。
北海道の初雪の時期は地域によって異なります。札幌管区気象台が公表している平年値を見ると、道北や上川地方では10月中旬から下旬、札幌や道東・道南の一部では10月下旬から11月上旬に初雪を迎える地域があります。
初雪の直前になってから点検すると、修理の依頼や部品の取り寄せが間に合わない可能性があります。地域の初雪の平年日や天気予報を確認し、修理や部品交換に必要な日数も考えて、余裕を持って点検することが大切です。
| 地域の例 | 冬前点検を始める時期の考え方 |
|---|---|
| 旭川・稚内など | 9月中から天気予報を確認し、秋の作業終了後に順次点検する |
| 札幌・岩見沢など | 9月下旬から10月上旬を目安に準備を始める |
| 帯広・釧路など | 10月上旬を目安に、気温低下と初雪の予報を確認する |
| 函館・室蘭など | 10月上旬から中旬を目安に準備を進める |
上記は準備開始時期の目安です。その年の気象状況や農作業の終了時期に合わせて調整してください。
まずは、トラクター、タイヤショベル、除雪機に共通する箇所を確認します。異常が見つかった場合は、無理に使用せず、取扱説明書や販売店、整備業者に確認しましょう。
| 点検項目 | 確認する内容 | 異常がある場合 |
|---|---|---|
| バッテリー | 充電状態、端子の緩み・腐食、外観の変形 | 指定された方法で充電・交換するか、整備を依頼する |
| 燃料 | 残量、燃料漏れ、異臭、ホースの損傷 | 始動せず、販売店や整備業者へ相談する |
| 冷却水 | 液量、漏れ、ホースの損傷、不凍液の状態 | 指定された冷却水や混合比を確認する |
| エンジンオイル | 油量、汚れ、交換時期、漏れ | 取扱説明書に記載された方法で補充・交換する |
| 油圧系統 | ホースの亀裂、接続部やシリンダーからの油漏れ | 無理に操作せず、整備を依頼する |
| タイヤ・クローラー | 空気圧、亀裂、摩耗、損傷、たるみ | 機種に合った調整・交換を行う |
| ベルト・ホース | 亀裂、硬化、緩み、外れ | 使用前に交換または整備を依頼する |
| ライト・安全装置 | 作業灯、警告灯、停止装置が正常に作動するか | 修理が完了するまで使用しない |
| ボルト・ナット | 緩み、脱落、破損 | 取扱説明書に従って締め付ける |
| 異音・異臭 | 始動時や作動時に普段と違う音・臭いがないか | 直ちに停止し、原因を確認する |
点検・整備は、地盤が安定した平らな場所で行います。持ち上げた作業機や車体の下には入らず、必要に応じて車輪止めやジャッキスタンドなどの安全用具を使用してください。
参照元:北海道「融雪期の営農技術対策」
気温が下がるとバッテリーの性能が低下し、エンジンを始動しにくくなることがあります。端子の緩みや腐食、充電状態を確認し、キーを回したときのセルモーターの音にも注意しましょう。
長期間使用しない場合のバッテリーの取り外しや充電方法は、機種の取扱説明書に従います。バッテリー周辺に火気を近づけたり、不明な方法で配線をつないだりしないでください。
燃料の量や漏れ、燃料ホースの損傷を確認します。ディーゼルエンジンでは、燃料フィルターや水分離器に水や汚れがたまっていないかも確認しましょう。
冷却水は、量だけでなく、冬期の気温に対応できる不凍液の濃度になっているかも重要です。エンジンが熱いときにラジエーターキャップを開けると、熱い冷却水が噴き出すおそれがあるため、必ずエンジンが冷えてから点検してください。
冬に使用しないトラクターは、作業機を安全な位置まで下ろし、雨雪を避けられる場所で保管します。泥や水分を落とし、必要な箇所に防錆や給脂を行いましょう。
バッテリー、燃料、燃料フィルター、エンジンオイル、冷却水を確認します。燃料やオイル、冷却水に漏れがある場合は、始動や走行をせず、整備業者へ相談してください。
低温時は油圧油の状態によって動きが鈍くなることがあります。暖機時間や使用する油脂類は機種ごとに異なるため、取扱説明書に従ってください。
燃料の状態、エンジンオイル、バッテリーを確認します。燃料漏れや強い異臭がある場合は、無理に始動したり燃料を抜いたりせず、販売店や整備業者へ相談してください。
デッドマンクラッチ、エンジン停止スイッチ、作業灯、各操作レバーが正常に作動するか確認します。点検中にオーガやシューターへ手を入れず、雪や異物を取り除く場合は、必ずエンジンまたは電源を停止し、機種指定の雪かき棒を使用してください。
点検は、異常を見つけるだけでなく、冬に使用するか、修理するか、手放すかを判断する機会にもなります。
| 判断 | 状態の例 | 次の対応 |
|---|---|---|
| 使用する | 漏れや異音がなく、安全装置も正常に作動する | 取扱説明書に従って使用する |
| 修理・整備する | 消耗品の劣化、始動性の低下、軽度の漏れなどがある | 冬の使用前に販売店・整備業者へ相談する |
| 査定を検討する | 長期間使用していない、修理箇所が複数ある、今後使用する予定がない | 修理を依頼する前に、現在の状態で査定可能か相談する |
売却するためだけに修理すると、修理費を査定額で回収できない場合があります。今後使用する予定がない機体は、先に故障機・不動機の取扱実績がある買取業者へ相談し、現在の状態で査定できるか確認しましょう。
長期間使用していない農機具は、燃料やオイルの劣化、配線の損傷、燃料・冷却水の漏れなどが起きている可能性があります。状態を確認せずに始動すると、不具合を広げるおそれがあります。
機体の下に液体が漏れた跡がないか、燃料の臭いがしないか、ホースや配線に損傷がないかを外観から確認し、異常がある場合は始動せずに相談してください。
型式プレート、機体全体、アワーメーター、損傷箇所、付属品を撮影しておくと、相談時に状態を伝えやすくなります。
異音や異臭、燃料・オイル・冷却水の漏れ、安全装置の不具合がある場合は、冬の作業に使用しないでください。修理して使い続けるか、売却・買い替えを検討するかは、次の点から判断します。
農機具が動かない場合の確認方法については、以下のページで詳しく解説しています。
外観、液量、漏れ、タイヤ、ライト、安全装置など、取扱説明書で日常点検として案内されている範囲を確認します。カバーの内部やエンジン、燃料・油圧系統の分解が必要な点検は、販売店や整備業者へ依頼してください。
始動前に燃料漏れ、オイル漏れ、冷却水漏れ、配線・ホースの損傷がないか確認してください。異常がある場合や、保管時の処置が分からない場合は、無理に始動せず専門業者へ相談しましょう。
保管時の燃料の扱いは、エンジンや燃料系統の仕様によって異なります。一律に判断せず、使用している機種の取扱説明書を確認してください。
燃料を抜く機種、燃料コックを閉じてキャブレター内の燃料を抜く機種などがあり、対応は機種によって異なります。取扱説明書に記載された長期保管方法に従ってください。
故障や不動状態でも、部品取りや修理再販を前提に査定される可能性があります。メーカー、型式、稼働時間、不具合の内容、保管場所を伝え、対応可能か確認しましょう。
北海道の冬前点検では、バッテリー、燃料、冷却水、オイル、油圧系統、タイヤ・クローラー、安全装置を中心に確認します。その上で、トラクターは作業機やPTO、タイヤショベルは油圧装置や除雪装備、除雪機はオーガやシューター、安全停止装置を点検しましょう。
点検で異常が見つかった場合は、無理に始動・使用せず、修理が必要か確認してください。長期間使用していない予備機や今後使う予定がない機体は、状態が悪化する前に査定を検討することも選択肢です。
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